2025年1月11日 阪神・淡路大震災を当時調査した一級建築士・能登半島地震で被災した講師から学ぶ「こども建築塾」
何事も自分ゴトに
阪神・淡路大震災から30年。
子どもたちに地震を「自分ゴト」として捉えてもらう企画として、「こども建築塾」は建築を切り口にものづくりの楽しさを学べる塾を2023年9月から開講されました。
1年をA日程・B日程に分け、3カ年のカリキュラムを想定。
2024年12月21日時点で1年目のA日程が8回終了し、設計の基礎となる図面や絵・寸法などを学び、山(株式会社類設計室が彩都に所有する林)の中で実測し、空間造りを身をもって体験してきました。
【子どもたちの声】
・「(模型を揺らして)強い! 強い! 耐えた! 耐えた!」
・「今回、建築の奥深いところまで知ることができました」
・「見た目も大事だけど安全第一だって分かった」
第一線で活躍するプロとの距離が近いのも「こども建築塾」の特徴!
一方で民家集落博物館を見学し、地域ごとの古来伝わる建築を学び、宮大工の棟梁から建物をくみ上げる作法を教えていただくなど職人の技術を目の前で見せてもらうこともあります。
1年目A日程では「彩都の山にどんな建物が建てられるか」を設計し、最終回でプレゼンを予定。
これから最終段階へ向けて、建物を知り、まちを知り、設計者としての技術と思考を学びます。
その一環として2025年1月11日(土)、被災した建物を写真で振り返るほか、模型作りや設計体験など実践的な活動を通して「安心・安全な建物とは何か」を子どもたち自身が考える機会を設けます。
日本はこれから起こるであろう南海トラフ地震のリスクが大きく、前回から70年以上経過している現在では切迫性が高まっています。
地震を過去のものとして考えるのではなく、「近い将来に起こる災害」として捉え、そのうえで「壊れにくい建物」について学ぶ機会を提供します。
【午前】 安心安全な建物を知ろう~関西での地震の追体験から~
・1995年の阪神・淡路大震災や2024年の能登地震を写真で振り返る
・模型で建物をつくってみよう→その後、模型を補強して壊れにくい建物に近づけます
【午後】 安全性と快適性を両立した建物を設計しよう!
・柱を増やせば安全、しかし狭い空間になる……
安全性と快適性を両立する、実務と同じような考えで設計を体験します。
講師プロフィール
■構造設計一級建築士 廣重圭一(類設計室)
1988年~ 設計事業部の構造設計として、東京設計室に配属。『綾瀬市庁舎』等を担当。
阪神・淡路大震災(1995年)以降は、耐震診断、耐震補強物件の専任担当業務を担う。
1999年~ 構造設計部主任として、『東京大学工学部2号館 (新建築掲載)』や『東京PCB施設』、『法政大学第二中・高等学校』、『東京工業大学 地球生命研究所棟(ELSI-1)』等の構造設計を担当。
また、対外的な活動(鉄骨関連の協会のワーキンググループへの参加)を積極的に行い、
その内容を論文にまとめ日本建築学会で発表。
2014年~ 大阪設計室に配転。部長として、構造設計部の設計を取りまとめ。
『ユーシン精機新本社工場』『石橋図書館(ツナガリエ石橋)』等を担当。
2020年~ 『京都市上下水道局総合庁舎』では施工会社との共創でAMIDA構法による高耐震性設計を実現するなど、挑戦を続けている。
2022年~ 『京都市の小中一貫校』ではRCと木の混合構造のプロジェクトを担当。
他にも、新しい木造のあり方、コンクリート造の有害なひび割れをなくす方法、地震波を知る、新しい耐震設計の追求等、多岐に渡る追求成果を実際のプロジェクトでも生かしている。
講師コメント
地震大国日本。1995年の阪神・淡路大震災以降、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震…と震度7を記録した地震が頻発しています。今後も南海トラフや首都直下型地震など大きな被害をもたらす地震が予想され、日本列島は本格的な地震活動期に入ってきています。
阪神・淡路大震災は、私がまだ若かった頃です。日本の耐震技術は世界的にも高く、建築基準法の構造設計基準を守れば、建物が倒壊することは無いと(多くの設計者含め)捉えていたと思います。
しかし、多数の建物崩壊、想定外の建物の壊れ方を目の当たりにし、いかに私たち設計者が、法律の基準だけを見て、自然の摂理の本質を学んでこなかったのかを痛感しました。
当時、類設計室では被災後、社員全員で何が起こったのか?どうしたらいいのか?を現地を歩きながら情報を集め、分析し今後の対策を追求しました。その後も大地震の度に、改善が加えられてきています。本当の安心安全は、地震被災を直視し、その本質を掴むことで、初めて実現できるのです。
今の子どもたちは阪神・淡路大震災を知りません。この大震災を見て、どう感じるか?その中で、怖い!何で壊れたのか?どうしたら良いのか?を感じ、学ぶ中で「地震動、力と変形、限界を超えると壊れる、地盤と建物の相互関係」などを掴んでほしい。それが将来建築する上で必要になる、『自然の摂理を捉える力』、『構造物の安定のバランス感覚』に繋がるに違いありません。そして一緒にこれからの未来の建築を考えていきたいと思います。
こども建築塾
歴史:
2023年9月に開講
対象:
小4~高3(定員50名)
料金:
1万2000円/回(税込)
教材費:
1万円(税込)※各日程ごと
期間:
A日程=9月~2月、B日程=3月~8月
第2・第4土曜日 計12回
時間:
10時~14時30分(昼休憩45分含む)
開催場所:
類設計室 大阪本社4F
大阪市淀川区西中島4-3-2 類ビル 大阪本社4F
ホームページ:
https://shigoto.rui.ne.jp/
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